キスの投げ釣り -1-
キス釣りとは別のジャンルで、スポーツキャスティングという競技カテゴリーがあります。キスを釣りあげるということから離れ、いかに遠くへ、いかに正確におもりを打ち込むかを競うこの競技、長い間の技術の研鑽と、メーカーの努力で200mオーバーの遠方までおもりを飛ばすまでに成長しました。キス釣り、カレイ釣り、イシモチ釣りといった浜での投げ釣りは、この競技に心血を注いだ競技者やメーカーの努力の恩恵を受けていることを忘れてはならないでしょう。
さて、キスの投げ釣りではこの遠投技法を応用して、かつては狙うことのできなかったキス釣りポイントも探ることができるようになり、キスが岸から遠のく冬場でも沖合のキスのたまり場を狙う釣りさえ可能になっています。遠投技法には回転投法、振り子投法など、かなりの体力と技量を要求される技法がありますが、キスを狙う釣りでは、スポーツキャスティングそのものを目的とする投射ではなく、あくまでも釣り。キス釣りならば『キス』を釣らなくてはなりません。
遠方のキス釣りポイントを狙うのに有効とはいえ、強烈なリアクションを利用して、おもりを打ち出す投法は、ただちにキス釣りに応用してよいものではありません。たとえばエサのショック切れ、エサのついていない仕掛けを何百メートル先に送り込んでもキスは釣れません。それから体力。せいぜい30cmのキス釣りといっても、数時間から一日を釣り続けることを考えると、一発に全精力を注ぎ込む競技会向けの技法では心も体も消耗してしまいます。そんなことを考えると、キスの投げ釣りの場合、エキスパートの投げ釣り師以外は、通常のスリークォータースローがベストと言えるのではないでしょうか。
キス釣りの目的はあくまでも、キスを釣り上げること。この視点でキス釣りと遠投技法の折り合いを考えなくてはなりません。キスの投げ釣りでは、ともすると遠投の快感に酔いしれて、キスを釣り上げるという目的自体を忘れがちな局面もありますが、スポーツキャスティングと異なり、エサと仕掛けを送り込むことがキス釣りにおける投擲技法であることをもう一度確認しておきましょう。